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外国人参政権に関する政府答弁の変節

先日のブログ、「政府は外国人参政権を諦めていた」がダントツにアクセス数が多い。
それだけ、この問題への関心が強いということだろう。

上記ブログで取り上げた山谷えり子参院議員(自民)の質問主意書(平成22年(2010年)5月27日提出)の前にも、馳浩衆院議員(自民)が平成22年(2010年)3月17日提出の質問主意書で、外国人参政権に関する政府見解を質問しているのである。
(この事は、花うさぎさんのブログ「花うさぎの『世界は腹黒い』」http://hanausagi.iza.ne.jp/blog/ (2010年7月24日)で知った。感謝します。)
ところが、馳浩議員への答弁は、山谷議員への答弁と全く逆の内容になっているのである。
何なんだ、2ヶ月余りの間のこの豹変ぶりは!?と呆気にとられる。

*以下の質問主意書および政府答弁書は、衆議院のホームページhttp://www.shugiin.go.jp/ で全文参照できる。
まず、馳浩議員の質問主意書。
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平成二十二年三月十七日提出
質問第二七六号

永住外国人への地方参政権付与に関する質問主意書

提出者  馳  浩

永住外国人への地方参政権付与に関する質問主意書

 政府・与党から、永住外国人への地方参政権を付与する法案が提出される予定との報道がなされている。このような法案推進の大きなきっかけとなったのが、最高裁判所の平成七年二月二十八日判決である。この判決では、その傍論において、立法で一定の永住外国人に地方参政権を付与することは憲法上禁止されていないと判示している。しかし同判決理由では、選挙権は権利の性質上日本国民のみを対象とし、外国人には及ばないと判示し、かつ、憲法第九十三条第二項の「住民」とは「日本国民」を意味するとしたうえで、同条は「外国人に対して、(略)選挙の権利を保障したものということはできない」と明言している。これを素直に理解すれば、同判決において、判決理由と傍論が論理矛盾していると判断してもおかしくないのではないか。内閣であれ、議員であれ、法律案を国会に提出する際、最高裁判所の合憲違憲に関する判断・見解は決定的に影響を及ぼすものである。
 以上を踏まえて、次の事項について質問する。

一 政府において、同判決はその判決理由と傍論において論理矛盾していると認識していないか。矛盾していると認識している場合、そう認識していない場合も含めて、その理由も併せてお聞きしたい。
二 最高裁判所は同判決のあと何度も、外国人の地方参政権について判示しているが、一度も正面から外国人の地方参政権を認めていないし、同じような傍論もつけていない。この事実を踏まえて、政府においては、永住外国人への地方参政権の付与について、現段階において最高裁判所がどのような態度をとっていると認識しているのか、そのお考えをお聞きしたい。

 右質問する。
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これに対する政府答弁書。
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平成二十二年三月三十日受領
答弁第二七六号

  内閣衆質一七四第二七六号
  平成二十二年三月三十日
内閣総理大臣 鳩山由紀夫

       衆議院議長 横路孝弘 殿

衆議院議員馳浩君提出永住外国人への地方参政権付与に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

衆議院議員馳浩君提出永住外国人への地方参政権付与に関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の最高裁判所平成七年二月二十八日判決は、「公務員を選定罷免する権利を保障した憲法一五条一項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である。そして、地方自治について定める憲法第八章は、九三条二項において、地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が直接これを選挙するものと規定しているのであるが、前記の国民主権の原理及びこれに基づく憲法一五条一項の規定の趣旨に鑑み、地方公共団体が我が国の統治機構の不可欠の要素を成すものであることをも併せ考えると、憲法九三条二項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない。(中略)このように、憲法九三条二項は、我が国に在留する外国人に対して地方公共団体における選挙の権利を保障したものとはいえないが、憲法第八章の地方自治に関する規定は、民主主義社会における地方自治の重要性に鑑み、住民の日常生活に密接な関連を有する公共的事務は、その地方の住民の意思に基づきその区域の地方公共団体が処理するという政治形態を憲法上の制度として保障しようとする趣旨に出たものと解されるから、我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではない」と判示している。これは、一切の法律が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である最高裁判所が示した考え方であると承知している。

二について

 御指摘の最高裁判所平成七年二月二十八日判決は、「我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではない」と判示しており、その後最高裁判所がこの見解を変更するような判示をしたとは承知していない。
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この答弁書、まるで答になっていない。

「一」では、平成7年(1995年)2月28日の最高裁判例の本論と傍論が矛盾していないか?と質問しているのに、それに答えていない。
判例の「一部」を丸写し。それも、外国人参政権を容認する「傍論」で引用を止める形にして、あたかもこれが最高裁判例の判断であるかのような主張をしているのである。
これって、詐欺じゃないの?
民主党政府はこうした詐欺まがいの言論を平気で行うのである。

「二」では、その判例以降も最高裁では外国人参政権を容認する判例を出していないと、質問主意書では言っている。
これに対し、政府答弁書では、最高裁判例は外国人参政権を禁止していないという主張を相変わらずゴリ押ししており(確かに判例では外国人参政権を「禁止」するという強い主張はしていないが、外国人参政権に対してはあくまでもネガティブな判断をしている)、以降の判例も同様、つまり、ずっと外国人参政権を認めていると言っているのである。
ならば、外国人参政権を認めている最高裁判例という「具体的証拠」を示すべきである

要するに、人を馬鹿にした内容の政府答弁書なのである。
質問主意書に真っ向と対峙することなく、外国人参政権を認めるぞという独りよがりの主張をしているのである。
この答弁書の閣議決定をした鳩山内閣には、外国人参政権に一貫して反対している亀井静香氏がいたのだが、亀井氏も署名したのだろうか(署名しているはずだが…)?

そして、2ヶ月余り後の山谷えり子議員への答弁では、一転して外国人参政権を否定する答弁書を決定している。
なんだ、民主党政府は外国人参政権付与でもブレているのか!?
閣議決定の重みを内閣は自覚しているのだろうか?

これを見ると、外国人参政権を否定した閣議決定も、ものの数カ月後にはあっけなく覆されるのかと、思ってしまう。
民主党政権は、言動に誠実さを欠いたまま、独裁的に売国法案を推進していくのだろうか。

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