SSブログ

読売社説で人権救済法案批判

産経新聞以外のマスコミで人権救済法案批判をするのは珍しいので、引用する。

人権委設置法案 理解に苦しむ唐突な閣議決定(9月23日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120922-OYT1T00994.htm
***
 問題点が多い法案の閣議決定を、国会閉会中になぜ急ぐ必要があったのか、理解に苦しむ。

 政府が、新たな人権救済機関を設けるための人権委員会設置法案を閣議決定した。

 藤村官房長官は「次期国会への提出を前提に法案内容を確認するものだ」と説明する。

 不当な差別や虐待を受けた被害者の救済は重要だ。だが、この法案については、人権侵害を理由として、通常の言論や表現活動まで調査対象になるのではないか、との懸念から、反対論が根強い。

 民主党は人権救済機関の創設を政権公約に掲げてきた。唐突な閣議決定は、次期衆院選を意識し、公約違反との批判をかわす思惑があるのだろう。

 人権救済機関を巡る法案は、小泉内閣時代の2002年にも人権擁護法案として国会提出された。その際は、調査拒否に罰則を科す点や報道機関への取材停止勧告を可能にする内容などが批判を浴び、最終的に廃案となった。

 今回の人権委設置法案は人権委の調査に強制力を持たせず、メディア規制条項も設けていない。

 それでも、なお、法案への疑問は消えない。

 最大の問題は、人権侵害行為の定義があいまいなことだ。

 法務省は「特定の人の人権を侵害する、民法や刑法に照らして違法となる行為」との見解を示している。だが、他人に対する批判的な言動が名誉毀損に当たるかどうかは、司法判断が分かれる微妙なケースも少なくない。

 人権委が恣意的に拡大解釈する余地を残せば、表現の自由の制約につながりかねない。

 人権委は、国家行政組織法上の「3条委員会」と位置づけられている。独立性が強いため、国会によるチェックが及びにくい点を問題視する声もある。

 政府は人権委を法務省の外局とする方針だ。人権委の地方組織として、全国の法務局や地方法務局の活用を想定しているからだ。

 しかし、刑務所や入管施設など、同じ法務省傘下の施設で起きる入所者への人権侵害に厳しく対処できるだろうか。

 児童や高齢者の虐待対策には、個別の法律が整備されている。また、現在でも法務省の人権擁護部門は、人権侵害を受けた人からの申告に基づき、毎年約2万件の任意調査を実施し、ほとんど救済措置がとられている。

 まずは、現行制度の改善を重ね、人権侵害救済の実効性を高めることが大切である。
(2012年9月23日01時13分 読売新聞)
***

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。