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落第教師

いま私は数学に関する仕事に携わっているが、その割には、学生のとき塾講師や家庭教師で数学を教えることが大の苦手だった。

中学生を教えることが多かったが、方程式4X = 1 が解けないという子供がいるのである。
私はその子に教えた。
両辺に1/4を掛けてごらん。
左辺は(1/4)x(4X) = ((1/4)x4)xX = 1xX = X、右辺は(1/4)x1=1/4となるから、X=1/4 が得られるじゃないか。
そう教えても、生徒は、「うう~ん、わからない」という。
私はもうお手上げだ。
これ以上どうやって問題を解きほぐせばいいのだ?
どうすればその子がわかるようになるのか、私のほうが教えてほしい。

ところで、上で説明したことは、難しく言えば、実数の積の結合法則に基づいている。
要するに、(a x b) x c = a x (b x c) である、掛け算の順序を変えてもいいという話である。
私は、小学校の算数のときからの計算の積み重ねで、そのことを経験的に理解していた。
で、「4X=1」の方程式が解けないという子供は、その「結合法則」を疑ってかかっているのか?
掛け算の結合法則って、実数はそういう性質を満たすという「公理」だったっけ、それとも、別のもっと根源的な公理から導き出せるものなのだろうか?
私は数学基礎論には疎いし、そもそも、数学科の学生でない。
ああ、私はどう答えたらいいのだ?

そういうわけで、私は落第教師であった。

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