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民主党INDEX2009

迷走極める民主党政治について、今は政権交代したばかりで混乱しているが、改革の成果が現れるまでここはひとつ辛抱強く待ってあげようではないか、という論調もあるという。

では、辛抱強く待てばどういう成果が期待出来るのか。
選挙ではマニフェストが話題になったが、それをもっと詳しくした「民主党政策集INDEX2009」というのがある。
http://www.dpj.or.jp/policy/manifesto/seisaku2009/#00
そこには、いま問題視されている外国人地方参政権法案、夫婦別姓法案、人権侵害救済法案なども載っている。

INDEX2009のPDF冊子を見た感想。

どういう理念・哲学をもって政治に臨むのか、という、民主党政治の全体像というものが全然見えてこないのだ。
行政、経済、厚生、教育…と各分野における様々な案件とその対策が、ただ無秩序に羅列してあるだけ。
対策といっても、では具体的にどういう事をするんですか、というのがわからないものが多い。
文書としての体を全然なしてないのだ。

私は大学教員として教育に従事しているで、その立場から、「文部科学」の章(pp.22--26)について、問題点を指摘する(民主党は日教組が支持団体だから、教育政策を批判しても無駄だと言われると確かにそうだし、むなしい気持ちになるが)。

まず、一番の問題は、現在深刻な問題となっている児童・生徒の「学力低下」について何も触れていないし、何も対策をとっていない。
資源の乏しい日本は教育により良い人材を育て、産業を維持し発展させていくことが極めて重要である。
また、ゆとり教育政策でレベルの低下した公教育に不安をもち、子供の教育のために塾・予備校などの教育産業に出費を強いられている親が多い。
そうした現状を無視し、学力回復・向上に何ら手を打たないのは、民主党教育の一番の欠陥である。

・日本国教育基本法案(p.22)
地方の教育委員会を発展的に改組した「教育監査委員会」を創設し、教育行政の責任を首長に移管

教育監査委員会の創設の意図が全然分からないし、委員にどういう人がなるのか、どうやって選出するのか(これは重要なはずだが)記していない。
宗教的感性の涵養および宗教に関する寛容の態度を養うことを教育上尊重する規定を設けました。

「宗教的感性」が具体的にどういうものを言うのか分からない。
それに、神道、仏教、キリスト教、イスラム教など、各宗教によって宗教的感性は違うだろうが、それを十把一絡げに扱うことはできるのか?
現行の教育基本法では、国公立学校では特定の宗教教育はできないことになっているが、それとの兼ね合いは?

・保護者や地域住民等による「学校理事会」の設置(p.22)
地方公共団体が設置する学校においては、保護者、地域住民、学校関係者、教育専門家などが参画する「学校理事会」が主な権限を持って運営します。

これも理事の選出方法が不明。「学校関係者」は具体的にどういう役職の人か、曖昧にされている。学校運営には現場の教員の意見が重要なはずだが。

・教員の質(養成課程を6年制に)と数の充実(p.22)
教員が職責を全うできるように、教員免許制度を抜本的に見なおします。

安部内閣の時に導入された教員免許更新制度が、日教組に押されて廃止になる、という話ね。
教員の質について、教員養成課程を6年とすることで質の向上を図るとしているが、免許取得後の質の維持はどうするのか?
偏向教育、度を過ぎた性教育などされた場合、保護者はどこへ訴えればいいのか?
前述の「学校理事会」で改善できるのか?そこで、理事会のメンバー如何によって、問題がスルーされたりしないか?

・教科書の充実(p.23)
中学や高校などにおける教科書のデジタル化を進め、内容の充実を図ります。

「デジタル化」が具体的にどういう形態を指すのか(PDF?それとも他の形)、全く不明。
デジタル化によって内容の充実が図れるという根拠は?

・大学改革と国の支援のあり方(p.23)
自公政権が削減し続けてきた国公立大学法人に対する運営費交付金の削減方針を見直します。

この前の事業仕分けでは国公立大学運営交付金削減と判定されて、私は文部科学省に反対意見メールを送ったぞ。

・伝統文化の保存・継承・振興(p.23)
日本の地域風土や歴史から生まれ育った伝統文化は、観光資源として地域経済に寄与するなど、さらなる発展と活用が期待されています。

伝統文化は観光と金儲けのための人寄せパンダか?
伝統工芸の職人さんとかが聞いたら怒りそうだ。
民主党の伝統文化に対する見方は、こんな浅はかなものだったのか。

・イノベーションを促す基礎研究成果の実用化環境の整備(p.25)
これも、実際には、事業仕分けで多くの科学技術関連事業の予算が削減と判定されてしまった。

…とまあ、こんな感じである。
繰り返すが、学力低下問題に対する政策がない、それどころか、問題意識さえないことが、民主長教育政策の最大の欠陥である。
そして、教育に関わる組織(教育監査委員会、学校理事会)の位置づけ、人選が不明であることにも不安を感じる。
民主党の支持団体に日教組がいることから、これらの組織が日教組メンバー・日教組シンパによって固められることも想定される。

というわけで、政権交代前に準備した政策文書(INDEX2009)がこんな内容だから、文教政策を含めて今後の民主党政策に期待が持てないのである。
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