SSブログ

ノーベル化学賞なので…「有機」からみで卒論の思い出



ノーベル化学賞ご受賞、誠におめでとうございます。

授賞対象は有機化学に関する研究業績であり、画期的な有機合成反応を発見したことだという。
…という私は理工系の研究者だが、有機化学は専門外なので、ちゃんとしたコメントができない、すみません。

いまの私の専門は応用数学であるが、少しの期間「有機」に関わったことがある。
私は物理工学科の出身で、卒業論文は物性実験の研究であった。
有機化合物で、温度や外圧を変化することにより、電気的に中性なものがイオン性に転移したり、あるいは、逆に転移するものがある。
専門的には「電荷移動錯体」という。
私は同級生と二人でその物質の性質を実験で調べた。
光を当てて反射光や透過光のスペクトルを調べたり、あといろんなことを…

ところが、私は救いようのないほど、手先が不器用である。
何しろ、トランジスタやコンダクタ1個を電気回路にハンダ付けするだけで、1時間もかかってしまうのである(それだけ時間がかかったら、素子が熱でいたんでしまう)。
ガラス管の細工にしても、ガラスを曲げるためのバーナーの炎が怖くて全然できず、相棒に任せっきりであった。
そういうわけで、とんでもなく不器用な私は、実験物理の方面に進むことは呆気無く諦めてしまった。
一方で、物理の勉強でも、量子力学のシュレディンガー方程式を解いたりするなど、数学的な計算・考察をするのは割と好きだった。
そんなわけで、大学院から応用数学の方面に進むことになったのである。

ところで、いまの応用数学の研究で微分方程式を解いたりするのに、コンピュータで近似計算をよくする。
これは、ある意味実験科学である。
数学的議論で近似計算の精度が理論的に分かっていても、コンピュータ数値計算には、例えば「丸め誤差」(例えば、円周率π=3.14159と有限桁数で打ち切って計算するとき生じる誤差)とかが伴って、理論では説明できない誤差や不安定性を生じることがある。
力学で物体と床の間の摩擦を無視して運動方程式を解いても、実際の物体の運動には摩擦が生じて、それは無視できない。
これと同様かもしれない。
コンピュータに向かって数値計算するとき、思いもかけず計算精度が得られない時など、これをノートに記しつつ、卒論研究の日々をふと思い出すことがある。
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。