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TPPという妖怪







現政権はTPPに参加するぞと言っているが、止めたほうがいいじゃないか?

TPPの全容を把握するのはなかなか難しいが、私が現在分かっている範囲でTPPの内容と問題点を整理しておく。

TPP=Trans-Pacific Partnership(環太平洋戦略的経済連携協定)というのは、太平洋を囲む国々で、かなり広範囲にわたって貿易自由化をする自由貿易協定である。
・参加したら、加盟国同士の貿易では関税が撤廃され、例外は認められない
・モノの輸出入に限らず、ヒト・サービスの流れも自由化される
ということである。
2006年5月にチリ、シンガポール、ニュージーランド、ブルネイの4カ国で発足、その後米国、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアが参加を表明して交渉を開始、そして2010年10月に日本の菅政権も「我が国もTPPへの参加を検討する」と表明した。

一見素晴らしい構想のように思えるTPP、しかしそれが日本の産業・社会に深刻な影響を及ぼすおそれがあるというのである。
私が把握している限り、TPPの問題点は次の3点である。1.農業は安い輸入農作物で壊滅的打撃を受ける。

これはよく言われることである。その上に、

2.日本は輸出でもTPPの恩恵は大して受けない。
そもそも、TPP参加国は外需依存国が多く、例えばシンガポールの輸出額は対GDP比で217%である。
そういう国はTPP自由貿易で恩恵を得る。
一方、日本の輸出額は対GDP比で18%、世間の「日本は輸出大国」というイメージとはかけ離れて、さほど輸出で稼いでいない。
だから、日本はTPPに参加したとしても、輸出で大して恩恵を得られない。
それから、典型的な輸出産業である自動車産業、海外向け車の6割以上が現地生産であり、関税撤廃などしてもあまり意味が無い。

一番の問題点が次であろう。

3.TPPは実際には日米間の問題であり、米国の対日貿易戦略である。
TPP参加国、交渉国のGDP合計額、その9割が日本、米国で占められる。
だから、TPPの自由貿易協定は実際には日米貿易の問題である。
ところで、米国は輸出増大計画を打ち出しており、オバマ大統領などもその事に言及している。
とすると、その輸出の受け入れ先は何処になるかというと、日本である。
だから、日本は米国の言われるままにモノを輸入させられることになる。
さらに、TPPはヒト・サービス(金融、医療、法律など)の流れも自由化することに注意しなければならない。
TPPは米国にとっては日本市場への扉をこじ開ける万能鍵である。
となると、米国の社会制度が次々と日本に流れこんでくる、米国の弱肉強食社会に日本に染まっていくかもしれないぞ。
例えば、日本が米国のような訴訟社会になってもいいのか…?

TPP、考えるといろいろ問題点が尽きないし、正体がなかなか見えてこない。
それなのに、菅政権はTPPに前のめりになっているし、財界・マスコミはこぞって推進派である。
「平成の開国」、「バスに乗り遅れるな」と言ってバスに飛び乗って、その行き先が何処なのか分かっているのか?
とにかく、冷静になってくれ。
少なくとも慎重に事を進めてくれ。
タグ:日米貿易 TPP
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コメント 3

凍え馬

 私もTPPには懐疑的です。
 これに関してどうもおかしいなぁと思うのは、なぜかTPP vs 東アジア共同体の構図を持ち出し、その上でTPP優位論を持ち出す人がいることですね。
東アジア共同体などという論外の構想と比べても…仕方がないですよね。
 それと、反TPP論の主軸が農業への打撃ということが実はおかしいのです。TPPにおいて、最も考慮されるべきは工業です。工業への影響を最も考えなければならないはずです。

by 凍え馬 (2011-02-14 19:11) 

凍え馬

書き忘れていました。
よく考えてみると、実はTPP参加国の半数以上とはFTA/EPAを締結しているのですね。これでは本当に日米FTA/EPAと差がない…
by 凍え馬 (2011-02-14 19:16) 

聖Judyのほうき星

コメントありがとうございます。
TPPの工業への影響として。
アメリカは輸出倍増の他に雇用増大の計画も打ち出しています(いま、オバマ大統領の支持率はジリ貧なので必死なのです)。
それを考えると、海外工場をもっとつくれ、現地雇用をもっと増やせとアメリカがゴリ押しすることも考えられます。
しかし、すでに各国とFTA/EPAを締結しているとは…なぜTPPなんでしょうねえ。
by 聖Judyのほうき星 (2011-02-15 20:25) 

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