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デジタル教科書ってホントにいいのかね?



この前テレビのニュースでデジタル教科書というのを見た。
コンピュータモニタに電子書籍化された教科書を見せて、強調したいところをハイライト表示して、わあカッコよさそう…って、これ、要するに電子紙芝居ではないのかと思った。

そこで思い出した、民主党政策集「INDEX2009」。
外国人参政権、選択的夫婦別姓、人権侵害救済機関の設置といった、民主党の亡国法案が羅列されているアレ。
保守派の政治家・論客から相当批判されて、それで民主党は今年は「INDEX」をつくるのを諦めたという代物である。
私はその「INDEX2009」を見たとき、これらの亡国法案に加えて、教育政策に次の記述があるのを見て、なんだこりゃと思った。
「中学や高校などにおける教科書のデジタル化を進め、内容の充実を図ります」
デジタル教科書って、いったいどういう形態のものなんだ?
そもそも、教科書をデジタル化すると、どうして内容が充実するの?

この書評にある「教科書のデジタル化」って、このINDEX2009の教育政策に沿った事業なのかしら?

私は大学で理工系学生相手に数学を教えている。
その立場からいうと、少なくとも数学教育にはデジタル教材はそぐわない。
数学の内容を理解し計算テクニックを身につけるには、鉛筆を手に紙に計算を書いていく、証明を記すというトレーニングが不可欠なのだ。
というか、数学をマスターするにはそれしか道はない。
紙に式計算を書いていく、三角定規やコンパスを使って図形を描いていく。
そういった「体感」を繰り返すことにより、はじめて数学が身につくのだ。
それを、授業ではパワーポイントのスライドをスススーと流して見せて、iPadか何かに電子書籍化された教科書を表示させてめくって見せて(私はiPadそのものを否定しているわけではない)、ハイおしまいでは、数学が身につくとはとても思えない。

以上のように、私は自分の専門である数学の面で、教育のデジタル化の問題点を考えてみた。
これは他の教科でも同様ではないか。
英語では教科書を音読する、国語では漢文を素読する。
おおよそ、教育というもの、ローテクな作業が不可欠であり、往々にしてそのローテクな部分が本質的である。
それが、教育のデジタル化によってスキップされてしまうのではないか。
その点を私はいちばん憂慮する。

吉田兼好は「徒然草」で「改めて益なきことは、改めぬをよしとするなり」と記したそうである。
教育もそうではないか。
古くからの伝統的な方法を地道に続けていくことである。
ここ数年のIT化の波に安易に流されてはならない。
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ymurayam

 おっしゃるとおりだと思います。
 小学校の現場には全くといっていいほど必要ないもので、在っても現実には使われていないことが多いと思います。
by ymurayam (2010-09-06 05:49) 

聖Judyのほうき星

コメントありがとうございます。
現在の情報機器の利点は、大量の情報の保管・処理・アクセスが優れていることであり、初等~中等教育にはほとんど関係ありません。
by 聖Judyのほうき星 (2010-09-06 15:24) 

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